Project Replayer
Project Replayer はEPM 等のシステムから得られるエンピリカルデータを基に, ソフトウェア開発プロジェクトを再現し, ビデオプレイヤのよう感覚でプロジェクトの流れを分析できるツールです.Project Replayer を用いることで,開発者は容易に自身の行なったプロジェクトのレビューを行うことができ,研究者も分析対象のプロジェクトをより詳細に,素早く理解することができます.Project Replayer が扱うエンピリカルデータは,版管理システム,バグトラッキングシステム,及びメーリングリストの操作履歴です.
Project Replayer は5 つのビュー(イベントリストビュー,グラフビュー,メンバビュー,ファイルビュー,メールビュー)と,再生日時を示すタイムバーから構成される.以下にそれぞれのビューについて概説します.

  • タイムバー
    タイムバーはProject Replayer が現在再生している日時を指し示しており,スライダを移動させることで特定の日時へジャンプすることができます. また,各操作ボタンによって再生日時を一定の間隔で順番に進めたり,あるいは停止させたり,早送りさせたりといった操作が可能です.
  • イベントリストビュー
    イベントリストビューはエンピリカルデータを時系列順に表形式で表示したものであり,このビューを見ることでその日に発生した全てのイベントを概観することができます.
  • グラフビュー
    グラフビューはプロジェクト期間中のコード行数の推移を折れ線で表示します. 更に,メールログをEP-Cluster Suite を用いて解析して得られた話題(内容の類似したメールの集合)の分布をグラフに重ねて表示することにより,プロジェクトの大まかな推移や,その時点でどのような話題が発生していたかといったコンテキストの理解が容易になります.
  • メンバビュー
    メンバビューはプロジェクトメンバの担当作業と作業履歴を表示し,誰がいつどのような作業を行っていたか,特に負担がかかっている開発者がいないかどうか,などを明らかにします.
  • ファイルビュー
    ファイルビューは版管理システムに登録されている全てのファイルについて再生時点での完成度を表示します.ファイルの完成度はプロジェクト終了時の累積変更コード行数を100%とした割合で算出されます.ファイルビューから,開発終盤まで進捗が芳しくないファイルや,特に工数がかかっているファイルを把握することができます.
  • メールビュー
    メールビューは,グラフビューに表示されている話題が具体的にどのようなメールで構成されているかを表示するビューであり,話題の一覧と話題を構成するメールの一覧,そしてメールの本文を表示する3 つの画面を持ちます.

  • その他の機能として,条件式を入力して条件が真となったときに再生を停止させるブレイクポイント機能や,版管理システムを通じて再生時点でのソースコードを参照する機能などがあります.
    これまでに,学生数名が開発したソフトウェアについて, その開発工程をProject Replayer によって再生,開発プロセスの振り返りが効率的に行えるかどうか実験を行いました.その結果,開発プロジェクトに全く関わっていない被験者であっても, 開発が滞っていた期間の特定や,その理由の把握など開発 プロセスの問題点が容易に認識できることを確認しました.
    主な関連文献
  • Keita Goto, Noriko Hanakawa and Hajimu Iida, “Project replayer - an investigation tool to revisit processes of past projects,” Proc. International Software Process Workshop and International Workshop on Software Process Simulation and Modeling (SPW/ProSim 2006), pp.72-79, Shanghai, China, May.2006.
  • Kimiharu Ohkura, Keita Goto, Noriko Hanakawa, Shinji Kawaguchi, and Hajimu Iida, “Project Replayer with email analysis - revealing contexts in software development,” Proc. 13th Asia Pacific Software Engineering Conference (APSEC'06), pp.453-460, Bangalore, India, December 2006.
  • Kimiharu Ohkura, Paul. S. Grisham, Hajimu Iida, and Dewayne E. Perry, “Context Analysis of Historical Process Data with the Project Replayer,” Proc. Workshop on Accountability and Traceability in Global Software Engineering (ATGSE 2007), pp.41-42, Nagoya, Japan, December 2007.
  • Kimiharu Ohkura, Shinji Kawaguchi, Noriko Hanakawa and Hajimu Iida, “Email and Trouble Report Analysis for Revealing Context with the Project Replayer,”Proc. 14th Asia-Pacific Software Engineering Conference (APSEC 2007), pp.569, Nagoya, Japan, December 2007 (Research Poster).
  • 大蔵 君治,後藤 慶多,川口 真司,花川 典子,飯田 元,“ソフトウェア開発における知識還元のためのプロジェクト再現ツール,” ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2006論文集,pp.75-78,October 2006.
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