| EPM Pro* |
|
エンピリカルデータ分析支援ツールEPM Pro* は,EPM のトランスレータによって作成されたXMLファイルを入力として, 様々なメトリクスによる開発プロジェクトの分析・可視化機能を持ちます.
分析機能は,プロジェクトの遅延リスクの検出を目的として,GQM(Goal/Question/Metric) パラダイムを用いて構築しました.まず,多くの現場関係者にアンケートを行い,プロジェクト遅延の原因として抽出された「要求の不安定」「設計の不完全」「劣悪な品質」といった問題状況の検出を目的(Goal) に設定しました. さらに,GQM 提唱者のBasili 教授と協働で作成したGQM モデルを,実プロジェクトでの
数回の実証実験を通してEASE 独自にカスタマイズし,メトリクスを確定しました.これらのメトリクスに対して,構成管理ツールと障害管理ツールのから抽出できるデータから加工する機能を実装しました.
EPM Pro* は, 大きく2つの分析機能を持ちます. 障害追跡ツールで管理されるバグ管理データを扱う ProQAV(Project Quality Assessment Viewer)と,構成管理ツールで管理されるソースコードデータを扱う ProPFV(Project Process Flow Viewer)です.ProQAV は,バグ累積件数, 重要度や優先度の高い障害件数や未解決件数,平均滞留時間の推移を出力します. さらに, 詳細分析機能として, バグ残存率や平均滞留時間の移動平均,乖離率なども出力できます.ProPFV は,規模遷移としてLOC (Lines of Code) やファイル数などの他,構成管理ツールのファイル更新履歴から, ファイル更新回数,10 行以上削除された更新の回数,追加行数,削除行数などを出力
します.また,要員の管理や配置の適切さを計測するメトリクスとして,2 名以上の作業者によって変更が加えられたファイル数と1 ファイルあたりの変更を加えた作業者数の平均も見ることができます.また,ProPFV では, ソースコードデータとバグ管理データを関連付けて分析することも可能で, コーディングバグ密度(KLOC あたりのコーディングバグ数),設計バグ密度(KLOC あたりの設計バグ数)なども出力します.
分析されたデータは,プロジェクト管理者が実際にプロジェクト進行中に用いるために,多様な可視化機能を持ちます.時系列の累計値だけではなく,週次での集計値,モジュール別の分析値,複数モジュールの同一グラフ表示,さらに時間的にずれたデータの並列表示なども可能にします. このような機能によって,プロジェクト管理者はプロジェクト全体を概観することも,モジュール単位で詳細にチェック
することもできます.
これらの分析機能や可視化機能は,プロジェクトマネージャの目的やプロジェクトの特徴に合わせてカスタマイズして用いられ,プロジェクト遅延の原因となる問題発生を早期に検出し,対策を立てることが可能になります.実際に,6 社からなるマルチベンダプロジェクトに対してこのツールを適用し,週次でプロジェクトの状況をモニタリングした結果,各組織で発生している問題状況の多くを捉えることができました.
EPM Pro* は,EPM の出力データに限らず, 他のツールで作成されたCSV 形式のデータの入力も許容するため,EPM やEPM が対応しているツールの
導入が困難な場合でも,同等のデータが収集できれば適用可能です. また, 分析結果のCSV 形式での出力機能も持ち,分析結果データをさらに他の統計解析ツールなどによって詳細分析することもできます.このようなアーキテクチャによって,Windows 上でユーザの開発環境に依存しない汎用的な活用を可能にします.
|
|
主な関連文献
|
|
玉田 春昭,松村 知子,森崎 修司,松本 健一,“プロジェクト遅延リスク検出を目的とするソフトウェア開発プロセス可視化ツール ProStar,” 奈良先端科学技術大学院大学テクニカルレポート,NAIST-IS-TR2007002,February 2007.
|
|
|
松村 知子,勝又敏次,森崎 修司,玉田 春昭,大杉 直樹,門田 暁人,楠本 真二,松本 健一,“自動データ収集・可視化ツールを用いたリアルタイムフィードバックシステムの構築と試行,” 奈良先端科学技術大学院大学テクニカルレポート,NAIST-IS-TR2007001,February 2007.
|
|