| D-SNS (Dynamic Social Networking System) |
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ソフトウェア開発に求められる知識は流動性が極めて高く知識そのものの陳腐化も速いため,開発者の持つ知識をデータベース等に登録し他の開発者と知識共有をおこなう従来の知識管理の方法は十分に機能しない場合が多くなっています.そのため,高度な技術的知識が必要とされるソフトウェア開発では,豊富な知識を有する特定の開発者が他の多数の開発者から協力を求められる状況が生じやすく,技術に精通した有能な開発者の負担が非常に高くなるという問題があります.そこで,EPM 等で収集,蓄積されたソフトウェア開発データに基づいて,「各開発者が有する知識」と「開発者間の社会的関係」を抽出し, 各開発者が必要としている知識(ノウハウ) を有する人物
を効果的に推薦する方式を開発し,ソフトウェア開発における知識協創支援システム(D-SNS: Dynamic Social Networking System) を設計, 実装しました.
D-SNS は,ソフトウェアリポジトリから抽出した開発者のプロジェクト所属情報およびコミュニケーション履歴に基づいてネットワーク密度を算出し,豊富な知識を有する特定の開発者へ推薦が集中することを防ぐための負荷分散型の知識共有メカニズムを有する点に特徴があります.例えば,開発者A と開発者B が同じ知識を必要とする場合, 豊富な知識を有する特定の開発者X へ協力を常に依頼する状況では, 開発者X の負担が高くなるばかりではなく, 組織内の情報や知識の流通経路が限定的なものとなります.D-SNS は,開発者A が開発者Xから先に知識を得た場合,同じ知識を必要としている開発者B は開発者A から知識を得るよう開発者Bへ開発者A を推薦します. 開発者X を中心として構成されていた情報・知識の伝播経路を他経路に拡大することで, 技術に精通する開発者X の負担を軽減するとともに,組織内の知識共有の効率化を図る仕組みです.
D-SNS では,情報・知識の伝播経路の選別をおこなうために,「開発者の社会的関係(=開発者のネットワーク)」からネットワーク密度を算出し利用しています.密度が高い開発者(=知識の流通経路を多く持たない開発者)は密度が低くなるように,密度が低い開発者(=流通経路を多く持ち負荷が集中しやすい開発者)は密度が高くなるように,経路の優先付けをおこないます.さらに,D-SNS を利用した際の開発者間の情報交換の内容はD-SNS に保存されるため,組織内の知識が蓄積された知識リポジトリとしてD-SNS を利用することが可能になります.
システム評価を目的として,コミュニティ内の知識共有のためにハブの役割を担う少数の開発者とそれ以外の大多数の開発者が共存する大規模なオープンソースコミュニティから得たデータを用いてシミュレーションをおこなった結果, ハブ開発者のネットワーク密度の増加と他の開発者のネットワーク密度の減少を確認でき,負荷分散型の知識共有支援が可能であることを示すことができました.
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主な関連文献
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Masao Ohira, Tetsuya Ohoka, Takeshi Kakimoto, Naoki Ohsugi, and Ken-ichi Matsumoto, “Supporting Knowledge Collaboration Using Social Networks in A Large-Scale Online Community of Software Development Projects,” Proc. APSEC2005 Workshop on Supporting Knowledge Collaboration in Software Development, pp.835-840, December 2005.
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Masao Ohira, Kumiyo Nakakoji, and Ken-ich Matsumoto, “D-Sns: A Knowledge Exchange Mechanism Using Social Network Density among Mega-Community Users,” Proc. Supporting the Social Side of Large Scale Software Development (CSCW2006 Workshop), pp.39-42, Banff, Alberta, Canada, November 2006.
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